星にかけた願い
ハルの選択


「これはあの時の花なんだよ。お兄ちゃん」

ハルは震えていた。

自分の我が儘が家族の幸せを奪い全てを狂わせた。


ユキが話し終わると、父の手に握られていた花は茶色く萎れ枯れた。


「ユキはパパの所にいてくれ。」


ハルは蒸せかえるような甘い香りに向かって一歩一歩進む。

「…お…兄ちゃんでも!」


察したユキの言葉を制しハルは笑顔を向けた。

「ユキは一度 花から貰った命だから…無理だよ。だから…」


そう言い進んだ先には、甘い甘い香りの花が蕾をかたく結んでいた。


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