好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
亜美との通話を切り、ベッドに寝転がる。
無意識の内に右手に視線がいく。
……瀬戸に握られていた、右手。
「……好きじゃない」
自分に言い聞かせるようにそう言う。
一人ぼっちの部屋で呟くと、何だか余計に虚しくなった。
目を閉じると思い出すのは、一緒に見た花火。
そしめ瀬戸の笑顔。
結局あの写真消してくれたのかな。
何かうやむやになって終わっちゃったけど。
でも、あの時の瀬戸の嬉しそうな顔。
あれが頭から離れない。
そして……
ーーもし……俺が夏休み中に会いたいって言ったら……会ってくれる?ーー
帰り際、瀬戸が遠慮がちにそう尋ねてきた。
……答えられなかった。
……どうしたらいいのか、分からなくて。