好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「ごめん、つぐみちゃん!」
突然、あかりさんがあたしに謝る。
「え?」
「何かちょっと急用できて、今すぐ行かなきゃいけないの!」
「あ、そうなんですか。
じゃあ、あたしは……」
帰ります。
そう言おうとしたのに……
「ごめんね、あたしから誘ったのに!
あとのことは涼に任せるから!」
……はい?
瀬戸も同じようなことを思ったのか、二人で思わず目を見合わせる。
「え、ちょっ、姉ちゃ……」
「じゃあ、涼!
つぐみちゃんのことよろしくね!
あたし急がなきゃだから!
あ、あとお母さんに帰り遅くなりそうって言っといて!」
一気にそう言うと、あかりさんはその辺に置いてあったカバンを掴んでバタバタと音をたてながらリビングを出ていった。
な……なんか嵐が過ぎ去ったみたい。
あかりさんが出ていった瞬間、しんと静まり帰る室内。
「……………………」
「……………………」
……どうしよう。
この状況……。