好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「つぐみちゃんって見てて飽きないよなー」
「え?」
「ずっと見てたい気分。
あれ、こんなこと言ったら俺変態かな。
ははっ」
笑いながらも瀬戸の視線はあたしに注がれたまま。
まるで慈愛に満ちたような表情。
そんな表情で見つめられて……
「瀬戸、本当……もう、ちょっと……そんなに見ないでって……」
……なんか恥ずかしい。
そう思って瀬戸から目をそらすと、
「つぐみちゃん」
名前を呼ばれて、そっと手を掴まれる。
「え、ちょっ……」
瀬戸はあたしの手を掴み、そのまま自分の胸へと触れさせた。
……あったかい。
そう思ったのと同時に、瀬戸の胸の鼓動の速さに気がつく。
「速……」
「でしょ?
俺、つぐみちゃんといるといつもこんなんだよ」
え……と思って顔を上げると、瀬戸の顔が思ったよりも近かった。
なんだか恥ずかしくて離れようとするも、あたしの手は掴まれたまま。
「でもさー、今日は多分いつもよりちょっとヤバいのよ」
「ヤバい?」
「だって、家につぐみちゃんいるんだよ?
そんなん、ヤバくない?」
「ちょっと言ってる意味が……」
「だからさ、外出よう」
は?と思って瀬戸を見るも、瀬戸は一人納得したようにうんうんと頷いている。
「このままじゃ俺死んじゃうもん」
「外に出るのは別にいいけど……」
「よし!
じゃあ、散歩しよう。
この辺ブラブラーっと」
ね!と瀬戸に同意を求められて、あたしは頷くほかなかった。