好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
外に出ると、太陽が少し傾きかけているところだった。
真昼間ほどではないけども暑いのは変わらない。
「あー、あっついなー」
空を見上げながら手で扇ぐ瀬戸。
「散歩ってどこ行くの?」
「んー、どっか。
つぐみちゃんが行きたいところあるなら、行くよ?」
そう言われても。
行きたいところなんて特にはない。
あたしの表情でそれが分かったのか、瀬戸は適当に歩こうかと笑いながら言って歩き出す。
あたしも瀬戸と並んで歩けば、瀬戸が何かに気がついたようにあっと声を出す。
「これってさ、デートじゃない?」
「……は?」
瀬戸がぱぁっと目を輝かせながらあたしを見る。
「お散歩デート的な?」
「……デートじゃありません」
「えー、ちょっとつれないこと言わないでよ、つぐみちゃん」
……デートという単語にちょっとあたしの心臓が反応してしまったのは秘密。