好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「そんなの、全然何の問題もないんだけど」
「え、でも……」
「分かってないなー、平野は」
はぁーと大げさにため息をつく瀬戸。
頭の中がクエスチョンマークだらけのあたしは首を傾げながらそんな瀬戸を見上げる。
「大体さー、俺って平野にフラれてるっていうか。
フラれかけてんじゃん?
それを俺がグダグダ引き延ばしてるだけで」
「う、うん……」
「そんなフラれてる相手と一緒にいるなんてさ。
傷つくこと前提でいるに決まってるじゃん」
え……。
「平野が俺のこと好きじゃないとか。
もしかしたら他の人のこと好きになるかもーとか。
そういうので自分が傷つくって分かってても、俺は平野といたいわけ」
瀬戸がポン、とあたしの頭の上に軽く手を載せる。
「てか、むしろ俺の方が謝らなきゃなんだけど。
こんな付きまとってごめんって」
「それは……」
「だから、平野が謝ることなんて何にもない。
俺が好きでこうしてるんだから」
瀬戸……。