好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
結衣の気持ち
何だか年々夏休みが過ぎ去っていくのが早くなっていく気がする。
小学生の頃はもう少し長かった気がするのに……。
年をとったからか。
あっという間に始業式になってしまっていて。
あたしは久しぶりに制服に袖を通して、気は進まなかったけれど学校に来たところだった。
「おはよー」
適当に挨拶をして自分の席に着く。
学校までの道のりが長かった。
暑いし、何か行く気しないし。
イスに座ると、はーと息を吐きながら頬を机にくっつける。
何だか冷たくて気持ちいい。
「何でそんなに死んでるの」
ふと頭上から声が降ってきて顔を上げると、リホが呆れたような顔をして立っていた。
「夏休み明けってなんか調子出なくて」
「まあ、分かるけどさ。
でも、これから忙しくなるよ。
文化祭準備」
ああ……そっか。
文化祭……。
早いクラスは夏休み中も学校に来てやっていたみたいだけど。
亜美のクラスとか。
ウチのクラスはほとんど動いてないと思う。