好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

探るようにじっとあたしの目を見つめる結衣。

その視線にドキッとするも、平静を装う。


「……本当に?」

「本当。
あれは偶然会っただけだよ。
泣いてたのは……あたしにちょっといろいろあっただけで、瀬戸は関係なくて」


どんどんウソを並べていく。

こんなんでいいのか、と不安になるけれど。

徐々に安心した表情になっていく結衣を見て、これでいいんだと言い聞かせる。


「だから……結衣が心配するようなことはないよ」


自分で言っておきながら胸が痛くなる。

でも、できるだけ頑張って笑顔を作ってみる。


「……いいの?
あたし、また瀬戸君にアタックしても……」

「いいも何も、あたしに許可取ることじゃないでしょ?」


そう言って笑顔を貼り付ければ、結衣もそうだねと小さく笑って頷く。


「……つぐみ」

「ん?」

「あたし……本気で瀬戸君が好きだよ」

「……うん」


頑張ってね、と言おうとしてやめた。

なんだかそれを言ってしまったらウソがバレる気がして。

代わりに精一杯笑顔を作った。
< 133 / 253 >

この作品をシェア

pagetop