好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
広里君はあたしの顔をじーっと見て、はぁーとため息をつく。
……ちょっと。
「……そんなため息つかれる程の顔ではないと思うんだけど」
「いや、面倒だなって思っただけ。
高橋のことも……涼も平野も」
「あたしも?」
何で?と首を傾げる。
広里君はそんなあたしを見てもう一度ため息をついた。
「……平野はあれでいいわけ?」
「え?」
「高橋が涼にアタックしてても……そのまま二人がくっついてもいいわけ?」
まぁ、それはないと思うけど……と小さな声で広里君は付け足す。
「いいのって聞かれても……。
元々それを望んでたわけだし」
……そうだよ。
最初は結衣に頼まれたラブレターを渡すところから始まったんだから、
結衣の想いが通じることを願ってたんだから……。
あたしは二人がくっつくことを望んでたんだよ。
「あーあ……つくづく報われないな、涼も」
広里君は頬杖をつきながらチラリと横目で瀬戸の方を見た。