好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
恐る恐る瀬戸の方を見る。
すると、ぶっすーと明らかに不機嫌そうな顔であたしを見ていた。
「せ、瀬戸……?」
「ようやくつぐみちゃんのところに来れたと思ったのにさー、何で絡まれてんの」
「えっと……ごめん?」
何であたしが謝ってるんだろう。
「ていうか……何でここに?」
「リホちゃんが抜けさせてくれた」
「リホが?」
何で?と首を傾げると、瀬戸はあたしの髪に手を伸ばして雫を拭い取りながら口を開く。
「つぐみちゃんと二人で買い出しに行ってこいって」
「え、」
さっきのリホの言葉を思い出す。
リフレッシュって……こういうこと?
「そしたら案外スルッと抜けられた。
まぁ、高橋は納得してなさそうだったけど」
瀬戸は大きくため息をつく。
それだけで瀬戸がどんなにストレスを抱えているかを感じ取れた。