好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「それに、俺もうあそこに戻りたくないし」
ああ……そうだよね。
やっと抜けてこられたんだもんね……。
瀬戸は大きくため息をつく。
「教室で俺はつぐみちゃんと中々話せないのにさー……なんか、ヒロとつぐみちゃんは仲良くなってるし」
「え」
「俺もそっちに行きたいのにさー……」
口を尖らせながらそう言う瀬戸。
そしてチラチラとあたしの方を見る。
「な……何?」
「可哀想な俺のためにちょーっと付き合ってよ」
子犬がくぅーんと鳴きそうな表情でそう言われる。
でもあれは子犬だから可愛いんであって、男子高校生がやったところで何も可愛くない。
「分かった……分かったから。
その顔やめて」
「可愛い?」
「気持ち悪い」
「え、どストレート」