好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「それに、俺もうあそこに戻りたくないし」


ああ……そうだよね。

やっと抜けてこられたんだもんね……。

瀬戸は大きくため息をつく。


「教室で俺はつぐみちゃんと中々話せないのにさー……なんか、ヒロとつぐみちゃんは仲良くなってるし」

「え」

「俺もそっちに行きたいのにさー……」


口を尖らせながらそう言う瀬戸。

そしてチラチラとあたしの方を見る。


「な……何?」

「可哀想な俺のためにちょーっと付き合ってよ」


子犬がくぅーんと鳴きそうな表情でそう言われる。

でもあれは子犬だから可愛いんであって、男子高校生がやったところで何も可愛くない。


「分かった……分かったから。
その顔やめて」

「可愛い?」

「気持ち悪い」

「え、どストレート」

< 150 / 253 >

この作品をシェア

pagetop