好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
仕方なく瀬戸に付き合うことにしたあたしは、嬉々としている瀬戸の後についていく。
瀬戸はさっきから少しご機嫌。
「どこ行くの?」
鼻歌を歌いながら歩く瀬戸に尋ねる。
瀬戸はあたしの顔を見ると、人差し指を唇の前に持ってくる。
「ヒミツ」
まるで子供のように無邪気に笑う瀬戸。
最近教室では見ることのなかった表情。
「でも、つぐみちゃんは一回行ったことがあるよ」
「え?」
行ったことのある場所……。
そんなの、この辺じゃ多すぎて特定できない。
だけど、瀬戸は詳しいことは教えてくれそうになかった。
だからそれ以上は聞かずに瀬戸についていく。
「今ならちょうどいい時間に着きそうだな」
ちょうどいい時間?
ますます訳が分からなくなる。