好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「でも、それでも押さえきれないぐらい瀬戸のこと好きになっちゃったんでしょ。
自分でもそれに気づいちゃったんでしょ」


亜美はジューッと残っていたアイスティーを一気に吸い込むと、空になったグラスをタン!と音を立ててテーブルに置く。


「そんなの、もう自分の中だけに溜め込むなんてムリよ。
余計なこと考えずにさっさと吐けばいいの」


吐くって……。

豪快な言い回しに思わず苦笑いする。


「大体、瀬戸だってアンタの友達のアタックを嫌がってるんでしょ?」

「それは……かなり」

「だったら、そろそろ幸せにしてあげなよ」


ふー、と亜美が息を吐く。


「つぐみ、要は二択よ。
嫌がってる瀬戸を救うか、友情をとるか。
そのどっちかしかないのよ」


どっちか……。

前、亜美が言ってた。

誰も傷つかない恋愛なんてないって。

あたしが結衣を選べば瀬戸が……

瀬戸を選べば結衣が……

……どちらかが傷つく。

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