好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
始まりの嘘
……結局ラブレターは渡せないまま、あたしは一人で教室に戻ってきた。
あぁ……そうだ。
結衣に伝えなきゃいけないんだ……。
でも……
『俺さ、平野のことが好きなんだよね』
瀬戸の声が頭の中で何度もリピートされる……。
「ダメダメ……」
あたしは勢い良く頭を横に振る。
ちょ、ちょっとビックリしただけだもん……。
告白されたのなんて初めてだったし……。
だから、別に瀬戸のことは……
「つぐみ!」
「うわっ……あ、ゆ、結衣……」
結衣に声をかけられ、思わず声が裏返ってしまった。
ま、マズイ……。
「あれ、そんなにビックリした?
ごめんね」
「う、ううん!大丈夫!」
何で……こんなにも心臓がバクバクしてるんだろう……。
別にあたしは何も悪いことなんてしてない……よね?
でも、なんか……