好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


次の日も瀬戸は結衣の猛烈アタックを受けていた。

げんなりした表情の瀬戸。


「今度の日曜日、映画行かない?」

「日曜はヒロと遊ぶから……」

「じゃあ、その次は?」

「その次もヒロと……」

「その次は?」

「ヒロ……」


断り方も適当になってきている。

そんな二人の様子をクラスメートは冷ややかな目で見ていた。


「……ちょっと瀬戸可哀想じゃない?」

「……結衣ちゃんってあんな子だったんだ」


そんな様子を自分の席から眺める。

あたしの前の席には広里君。

もうすっかりそこが定位置になった広里君は休み時間になるとよくあたしのところに来る。


「そんなに毎週瀬戸と遊ぶの?」

「まさか。
俺だってそんなに暇じゃないよ」


広里君は紙パックのいちごオレを飲みながらそう答える。

最近知ったけど、広里君は意外と甘いものが好きらしい。


「そういやこの前、涼と買い出し行ったんだろ?
アイツ、ちょっとは元気出た?」

「あぁ……うん。
多分……」

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