好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
徐々に近づいてくる文化祭。
それと同時に放課後の準備も盛り上がってくる。
……だけどあたしはどこか浮かない気持ちでそれに参加していた。
……あたしはこんな状況で本当に瀬戸に告白していいのか。
あたしが告白したら全て解決するのか……
必死で頭を働かせるけど、答えは出ない。
もしあたしが告白したら……結衣は?
結衣はどうするんだろう……。
瀬戸のことを諦める?
それとも……。
「ちょっ、つぐみ!
指切るよ!」
「はっ……危ない」
ボーッとしていたせいか、はさみを扱っているのを忘れていた。
危ない……。
……今はこっちに集中しなきゃ。
「あ、つぐみ!」
でも、そこで名前を呼ばれてあたしは作業を中断する。
久々にその声で呼ばれた名前に恐る恐る顔を上げる。
「結衣……」
そこには結衣が満面の笑みで立っていた。