好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「どうしたの?」
「つぐみに相談したいことがあって……」
顔を赤くしながらもじもじし始める結衣。
ああ……これは。
あたしにラブレターを頼んできた時と同じだ……。
「相談?」
そう聞き返しながらあたしは結衣の周りを見る。
……珍しく瀬戸から離れたんだ。
それとも瀬戸が逃げたのかな……。
そんなことを思っていると、突然結衣に両手を握られる。
「結衣……?」
「……あたしね、瀬戸君と文化祭一緒に回りたいなって思ってて」
結衣の言葉に思わず体が硬直する。
文化祭……一緒に……。
「……そう……なんだ」
「うん、それでね……つぐみにお願いしたいことがあって」
「あたしに?」
……嫌な予感がする。
なぜかここから今すぐ逃げ出したくなった。
「瀬戸君のこと……誘ってくれないかな?」
……とんでもなく嫌な予感は当たった。