好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「瀬戸を誘う……?あたしが?」
結衣に言われたことが信じられなくて、聞き返す。
すると、結衣は小さく頷いた。
「うん。
つぐみから言ってくれたらOKしてくれるかなと思って……。
……あたしが言っても多分瀬戸君……断るから」
少し寂しそうな顔でそう言う結衣。
あれだけ一方的に付きまとっているのに、瀬戸がどう思ってるのかは意外にも分かってるみたいだった。
「……あたし、瀬戸君に振られたことが悔しくて。
だからちょっと頑張ってみたけど……あんまり意味ないみたいだから」
意味ないどころか……あれはどんどん嫌われていくような気がする。
瀬戸のげんなりした顔を思い出せば、なおさら。
「……だからね、あたしこれで最後にしようと思うの」
「え……最後?」
少し驚いた表情を見せれば、結衣は小さく笑った。
「うん。最後……。
最後に一つだけお願いしたいの。
文化祭、一緒に回ってほしいなって……。
それで本当に諦めるから」
最後……。
これで瀬戸は解放される?
「お願い、つぐみ。
瀬戸君に頼んでくれないかな」