好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
最後……。
これで瀬戸は解放される……?
でも……。
チラリと結衣の顔を見る。
どこか不安げな表情であたしを見つめる結衣。
……結衣はただ瀬戸が好きなだけ。
好きすぎて暴走してるだけ。
広里君はいろいろ言ってたけど、あたしはそれが全てだとは思えない。
……けど、あたしが瀬戸を結衣のために誘う。
それはどうなのか……。
……あたしがラブレターを渡した時の瀬戸の表情を思い出す。
あの傷ついた表情……。
あんな顔……もう見たくない。
「……ごめん、結衣」
「え?」
「そういうの、自分で言ったほうがいいと思うよ」
結衣が目を丸くしてあたしを見る。
あ……と何か言いたげだったけど、あたしは言葉を続ける。
「自分で言わないと……意味がないと思う」
何にしろ、あたしが言うわけにはいかない。
……見たくないから。
瀬戸のあんな表情……。
……だから、ごめんね。結衣
「………………」
結衣はあたしの顔をじっと見つめたまましばらく黙りこむ。