好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「ね……ど、どうだった?」


急に結衣は小声になり、そう尋ねてくる。


「どうって……」

「あれ、瀬戸君に渡してくれたんじゃないの?」


ギクッ、と思わず体が反応してしまう。


「あ、あぁ……その話ね……」


何で動揺してんの、あたし!

普通に言えばいいの!


「あのね、結衣……瀬戸は……」

「ん……?
ねぇ、つぐみ……それ……」

「え?」


結衣の視線が明らかにあたしの顔より下にある。

その視線を辿るようにしてあたしも下を向くと……


「はっ……!!」


しまったはずのラブレターが見事にブレザーのポケットからはみ出ていた。

な、なんてこと……


「あの、これは……」


受け取ってもらえなかった、なんて言ったらやっぱりショックだよね……。

でも、だからといって嘘はつけないし……

正直に言うしかない。


そう思い、あたしがポケットからラブレターを取り出そうとした……その時。


「瀬戸君に話に行ったのかなって思ったけど、違ったんだね」

「……え?」

「二人で出て行ったからそうなのかなって思ったんだけど……」


……あ…………。

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