好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「ふーん」
瀬戸は納得してなさそうだったけど、それ以上そのことに関して聞いてくることはなかった。
「もう帰るの?つぐみちゃん」
「うん、ちょっと」
「あー、もしかしてサボり?」
「たまにはいいでしょ」
「ははっ、まーね」
ヘラヘラと笑う瀬戸に少しだけ安心感を感じる。
ちょっと前まで元気なかったから。
「瀬戸は?残るの?」
「んー……そのつもりだったんだけど。
つぐみちゃんが帰るなら俺も帰ろうかな」
「え」
「だって、最近あんまり話せなかったじゃん?
どうせならこのままつぐみちゃんと放課後デートでも……なんて、どうですか?」
デっ………。
思わぬ単語に硬直する。
すると、そんなあたしを見て瀬戸が苦笑いする。
「ごめん、ごめん。
デートはダメだよなー。
んー……じゃ、散歩ってことで。
放課後お散歩。
それならいいんじゃない?」
……瀬戸が思ってるように、デートっていう言葉が嫌だったわけじゃない。
ただ……ちょっと……意識してしまっただけ。
瀬戸は勘違いしてるみたいだけど……。
違う、なんて言えなかった。
「……いいよ、お散歩」
「え?」
あたしが瀬戸の誘いを受け入れれば、瀬戸はなぜか目を丸くする。