好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「ねぇ……本当に付き合ってないの?」
そのことを翌日亜美に話せば、呆れたようにそう言われた。
「話聞いてたらカップルの惚気話にしか聞こえないんだけど」
「のろっ……。
付き合ってないってば」
いつもの喫茶店でいつものアイスティー。
店員さんにそろそろ顔を覚えられた気がする。
「でも、好きなんでしょ?瀬戸のこと。
早く告白しちゃいなよ」
「そうだけど……」
……あの時。
瀬戸のことをどう思ってるか聞かれた時
、答えようとした。
でも言葉にはできなかった。
なぜかは分からないけど……伝えることはできなかった。
「文化祭終わって落ち着いたら……する
」
あたしがそう言えば、亜美はあからさまに大きなため息をついた。
「そんな悠長なこと言ってて大丈夫なの?
あれ、割とモテるらしいから。
どこぞの女に掻っ攫われるかもよ?」
うっ……。
確かに……。
瀬戸に告白されたのはもう何ヶ月も前。
それからも瀬戸はことあるごとにあたしにアピールをしてくるけど……
……このまま曖昧にしていたら、いつ飽きられるかなんて分からない。