好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「ていうか。
何で後夜祭だけなの?
昼間は一緒に回らないの?」
「約束したのは後夜祭だけだから……」
あたしがそう答えれば、亜美は顎に手を当てて少しだけそれっぽく考える素振りを見せる。
「二日間もあるのに。
普通、友達とかよりも好きな人と回りたいって思うじゃん。
なのに……他に誰か一緒に回る人でもいるんじゃない?」
他……。
その言葉にあたしは激しく反応する。
もしかして……結衣?
最後に誘ってみるって言ってたもんね。
瀬戸はその誘いを受けた……?
いや、でも普通に友達と回るのかもしれないし……。
「つぐみ?」
いや、でもあの押しの強かった結衣のことだから……瀬戸のことはもうすでに誘ってるはず。
じゃあ……やっぱり結衣と……?
……結衣のことを考えればそれはよかったことなのに。
あたしの胸はチクチクと痛む。