好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「…………………」
「つぐみ?」
「あ……うん。
あの……放課後の予定を……」
「放課後?」
結衣が首を傾げる。
「放課後に渡そうかと思って……」
「あ、そういうこと。
なんかごめんね、面倒くさいこと頼んじゃって……」
「ううん、大丈夫……」
全然大丈夫じゃないけど……
変な嘘ついちゃったけど……!
で、でも言えなかったんだもん……
この雰囲気で……受け取ってくれなかった、なんて言えなかったんだもん……!
なんて……言い訳したってダメなことはダメだって、分かってる。
でも、放課後に言えばいいよね……?
放課後に本当のこと言えば大丈夫だよね……?
「あ、瀬戸君……」
結衣の言葉が聞こえたのと同時に、あたしの目に教室に戻ってきたばかりの瀬戸の姿が映る。
「涼、どこ行ってたんだよー」
「んー、ちょっとな」
友達と話しながらヘラヘラしてるアイツ。
「瀬戸君……」
そんな瀬戸を恋する乙女のような目で見つめる結衣。
…………………。
結果を知っているだけに、そんな結衣を見ていると胸が痛む。
……瀬戸が大きな爆弾を落としていってくれたおかげで、複雑な感情もあって……