好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「えっと、カルピスとコーラとー……あと何だっけ」
自販機のラインナップを見ながらブツブツ呟く瀬戸。
「ま、いっか。
テキトーにマズそうなの買っていけば」
それは最終的に瀬戸が飲むことになりそうだけど……。
そんな言葉を飲み込んで、瀬戸の人差し指の行方を眺める。
意外と綺麗な指してる。
他人の指をマジマジと見る機会なんてそうそうないけど、瀬戸は他の人に比べて綺麗な指だなと思う。
何となくだけど。
「で、最後にいちごオレ」
……いちごオレ?
そんな可愛い飲み物頼んでた人いたっけ?
瀬戸の指を見ながらさっきの男子の顔ぶれを思い出す。
「はい、つぐみちゃん」
瀬戸は自販機から紙パック状のいちごオレを取り出すと、あたしに手渡してきた。