好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「え……」
「ここまで付き合ってもらったからさー。
お礼ね。
嫌いだった?」
瀬戸の手からいちごオレを受け取りながらあたしは首を横に振る。
「……ううん。大好き」
瀬戸の顔を見ながらそう言えば、瀬戸は片手で口元をおさえてあたしから目をそらしてしまった。
「……瀬戸?」
「あー……もう。
何でそんなに可愛いかなー……」
「へっ……!?」
チラッと見えた瀬戸の頬はほんのり赤くて、照れてることなんて一目瞭然。
「もう、つぐみちゃんさー……そういうのどこで覚えてくるの?」
「そういうの?
どこでって……」
「あー、待って。何も言わないでいいよ。
答えが返ってきたら、それはそれでヤキモチ妬きすぎて焼け死にそう」
瀬戸はふぅっと息を吐くとあたしの顔を見て小さく笑う。
「つぐみちゃんのせいで俺の心臓破裂しそう。
俺が死んだら責任取ってね」
「またそんなこと言って……」
「ははっ!じゃあ、戻ろっか」
あたしは瀬戸がくれたいちごオレを優しく握りしめると、大きく頷いた。