好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「え……」

「ここまで付き合ってもらったからさー。
お礼ね。
嫌いだった?」


瀬戸の手からいちごオレを受け取りながらあたしは首を横に振る。


「……ううん。大好き」


瀬戸の顔を見ながらそう言えば、瀬戸は片手で口元をおさえてあたしから目をそらしてしまった。


「……瀬戸?」

「あー……もう。
何でそんなに可愛いかなー……」

「へっ……!?」


チラッと見えた瀬戸の頬はほんのり赤くて、照れてることなんて一目瞭然。


「もう、つぐみちゃんさー……そういうのどこで覚えてくるの?」

「そういうの?
どこでって……」

「あー、待って。何も言わないでいいよ。
答えが返ってきたら、それはそれでヤキモチ妬きすぎて焼け死にそう」


瀬戸はふぅっと息を吐くとあたしの顔を見て小さく笑う。


「つぐみちゃんのせいで俺の心臓破裂しそう。
俺が死んだら責任取ってね」

「またそんなこと言って……」

「ははっ!じゃあ、戻ろっか」


あたしは瀬戸がくれたいちごオレを優しく握りしめると、大きく頷いた。

< 199 / 253 >

この作品をシェア

pagetop