好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
さて、頼まれたはいいものの……。
どうしたものか……。
教室に戻ってきたあたし……平野つぐみは机に肘をつきながら考えこんでいた。
友達……結衣から頼まれたラブレター。
宛先は瀬戸涼。
瀬戸は同じクラスでよく話さないこともないけど……
「別に仲良しってわけじゃないんだけどな……」
結衣はあたし達が仲良しだと思ってたみたいだけど……。
……さて、そんなことよりこのラブレターをどうやって瀬戸に渡そうか……。
まさか人がいっぱいいる教室で渡すわけにもいかないし……。
……放課後まで待とうかな。
でも……結衣が瀬戸のことが好きだったなんてなぁ……。
なんか意外かも。
別に瀬戸は悪い奴じゃないんだけど……。
いつも飄々としていて、本心がどこにあるのか分からないし……なんか、アイツの言ってることは全てが胡散臭い。
うん、悪い奴ではないんだよ、多分。