好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
傷口に
瀬戸と結衣のことを知ってからというものの、あまり学校に行く気が起きない。
だからって休むわけにも行かず……憂鬱な気持ちのまま学校へ行く。
結衣とは当然毎日顔も合わせて話すけれど、あたしはちゃんと笑えているのか分からない。
……瀬戸とはあれから話していない。
用がないなら話しかけないでって言ったのはあたしだから。
これでいいのに。
これでいいはずなのに……。
……何だか胸にポッカリ穴が開いた気分。
「もうすぐ文化祭なのにな……」
廊下の壁にもたれながらそう呟く。
そんなあたしの呟きをしっかり聞き取ったのは、隣にいた亜美。
亜美はあれから休み時間になるとあたしの様子をちょくちょく見にきてくれる。
「去年みたいに二人で回ろ。ね?」
「……うん。ありがとう、亜美」
亜美がポンポンとあたしの頭を撫でる。
「そうだ!
この前、駅前のパンケーキの店の割引券貰ったの。
一緒に行こ」
「パンケーキ……行く!」
「そうこなくっちゃ。
甘いもの食べれば嫌なことなんて忘れられるからね」
甘いものは正義!と亜美が笑う。
「……ありがとう」
あたしがお礼を言うと、亜美は優しく微笑んだ。