好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「瀬戸のこと、聞いたんだけど……」
「あ……」
どこか言いづらそうな水谷君。
あたしのことを気遣ってくれているんだろう。
「あれって……本当?」
遠慮がちに聞いてきた水谷君。
ちょっと申し訳なさそうな表情。
そんな水谷君を見ながらあたしは小さく頷く。
「……本当だよ」
あたしがそう言えば、水谷君は大きく目を見開く。
そして、小さな声でそっか……と呟く。
「……信じられなかったんだよ。
最初聞いたとき。
だって、瀬戸は……」
水谷君はそこまで言うと、あたしの表情を見てハッとしたように慌てて口を閉じた。
「ごめん……つい」
「ううん、もう終わったことだから」
そう、終わったこと。
……なのに、あたしの心はなかなか瀬戸を忘れてくれない。