好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「平野はさ……これでいいの?」
「……うん」
……本当はよくない。
けど、もうどうすることもできないから。
小さく頷いたあたしを見て、水谷君は何かを決めたように真剣な表情で向き直る。
「水谷君……?」
「……あのさ、平野」
水谷君の視線がまっすぐあたしに注がれる。
「こんな時に言うのはズルいって分かってるし……もう何もしないって言ったけど……」
水谷君がふぅっと息を吐く。
休み時間の生徒が賑わう廊下。
そこで真剣な表情で向き合う二人。
「……やっぱ、無理だ」
「水谷君……?」
「平野が傷ついてる顔、見たくない」
水谷君……。