好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「俺、瀬戸の代わりでもいいよ」
「え?」
何言って……。
「瀬戸の代わりでもいいからさ、一緒にいたい」
「水谷く……」
「文化祭。
一緒に過ごそうよ」
文化祭……。
……そういえば、瀬戸に後夜祭空けておくように言われてたっけ。
そんな約束も……もうなくなってしまったけど。
「そんなの……ダメだよ」
「何で?俺じゃ瀬戸の代わりにはなれない?」
「そういうことじゃなくて……」
だって……そんなの。
水谷君の気持ちを利用してるみたいで……。
……そんなの、よくない。
「水谷君の気持ちは嬉しいけど、でも……」
「……いいんだよ。
どんどん利用してくれて。
それで平野が笑顔になれるなら」
そう言って笑う水谷君。
その笑顔に胸が痛む。
こんなに言ってくれてるけど……でも……。
「だからさ、一緒に過ごそう?
文化祭」
やっぱり、こんなの……
「………あ」
すると、突然水谷君があたしから視線を移してあたしの後ろの方へと目をやる。
少しだけ驚いた表情。
不思議に思ってあたしもそちらへ目を向けると……
「………………」
……瀬戸が、いた。