好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「……別にからかってなんかないよ」
……瀬戸が静かに声を発する。
「……平野のこと好きだったのは本当」
好き“だった”
過去形。
それが何を意味するのか、明白。
「けど、平野はどうしたって俺に振り向いてくれなかったから」
……違う。
……違うの。
……素直になれなかっただけ。
……言葉に出せなかっただけ。
本当は……。
「……振り回してごめん」
……謝らないでよ。
そんな顔して……。
……何で瀬戸がそんなに辛そうな顔してるの?
辛いのは……泣きたいのはあたしの方だよ。
「でも、今はもう……。
……平野のこと、好きじゃないから」
……決定的な言葉。
一番聞きたくなかった言葉。
そんな言葉が……瀬戸の口から紡がれた。