好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「な……何?」
多少ビクビクしながら声を出せば、瀬戸は少しだけ困ったように眉を下げる。
「俺のこと……嫌い?」
「…………は?」
思わず間抜けな声を出してしまった。
だって、瀬戸がいきなり訳わかんないことを言い出すから。
「……何言ってるの?」
「だってさー……」
「あたしに嫌われてようが何だろうが、瀬戸にはもう関係ないことでしょ」
少しだけ冷たい言い方になってしまった。
そう気づいた時にはもうすでに遅く、ハッとして瀬戸を見たら……少しだけ寂しそうに笑っていた。
……何でそんな顔するの。
やめてよ。
また、あたしの心がかき乱されるから。
お願いだから……やめてよ。
……瀬戸の顔を見ていられなくて、あたしは下を向く。
……もう嫌だ。
何なの……何だって言うの?
「つぐみちゃ……」
瀬戸があたしの名前を呼ぼうとした、その時だった。
静かな空間を壊すかのように、音楽が鳴り響いた。