好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
見ちゃった
文化祭、一日目。
結局、瀬戸への気持ちは整理できぬままこの日がやってきてしまった。
午前中のシフトで一生懸命働いた後、あたしは約束していた通り亜美と一緒に回っていた。
「あー、疲れた」
首を回してゴキゴキ鳴らしながら亜美が言う。
「そんなに?」
「シフトだったはずの子が二人もいなくてさ!
その分忙しかったの」
あー、それは大変そう。
あたしは亜美の話を聞きながらお疲れ様と声をかける。
「あー、何かお腹空いた。
つぐみ、お昼何か食べた?」
「まだ。
どっか入って食べようよ」
「どこがいいかな」
パンフレットを見ながら真剣に考え込む亜美。
あたしも一緒にそれを覗き込む。
……何だ、楽しめるじゃん。あたし。
ちょっと不安だったけど。
でも、普通に楽しめてる自分に少し安心する。