好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
結局、現在地から近い場所にあったクレープ屋さんに腰を落ち着けたあたし達。
頼んだクレープを頬張りながらベンチに座っていつものようにお喋りをする。
「つぐみ、明日は水谷と回るんだっけ」
「うん、その予定だけど……」
「何?何か浮かない顔してるね」
「だって……」
何だか水谷君に申し訳なくて……。
そんなあたしの気持ちを察したのか、亜美はあたしの背中をポンッと軽く叩く。
「つぐみさ、無理しなくていいんだよ」
「え?」
亜美はあたしの顔を見てにっこり笑う。
「つぐみ、頑張って瀬戸のこと忘れようとしてるみたいだけど。
そんな無理なんてしなくていいと思う」
「亜美……」
「水谷に申し訳なく思う気持ちも分かるけど。
水谷はそれでもいいって言ってくれたんでしょ。
なら、明日は楽しまなきゃ。
浮かない顔してる方が水谷に失礼だよ」
そう……そうだよね。
せっかく誘ってくれて、あたしもそれを受けたからには目一杯楽しまなきゃ……。