好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


「……もし、もしさ。もしもだよ」

「うん」

「あたしが瀬戸に告白して……ズタボロになって帰ってきたら、慰めてね」


あたしがそう言うと、亜美はあたしの手を優しく包みながらにっこり笑う。


「そこは任せておいて。
じゃあ、もしつぐみがこっぴどくフラれてきたら何か奢ってあげるね」

「あ、言ったからね。
約束だからね!」

「はいはい」


結果が分かってる告白なんて怖くない……はず。

フラれるっていう心構えができてるし、ただちょっと心が痛むだけ。


……ただ、けじめをつけたいだけなの。

無理して忘れる必要はないよって亜美は言ってくれたけど。

そんなこと言ってたら、いつまでも引きずりそうで。

でも、それは嫌なんだ。

一旦終わりにしたい。

そして、次に進みたいの。


……ワガママ。

これはあたしのワガママで、瀬戸からしたら迷惑な行為なのかもしれないけど。

でも、それっきりで終わりにするから。

だから、許して。



……なんて、この気持ちと別れを告げるために告白する決意を新たにしたのに。

神様はどこまでもイジワル。

人が入りやすいように開けっ放しの教室の扉。

そこから見える廊下の風景。

……あたしが一番見たくなかったものが見えてしまった。

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