好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
《受け取れないって……。
……読んでもくれなかったの?》
「……うん」
《……そ……っか》
落胆したような結衣の声。
チクチクとあたしの胸が痛む。
《あの……理由は?
理由とか……聞いた?》
「え……理由?」
理由……。
それは瀬戸には好きな人がいるから……
でも、その人はあたしであって……。
けど、あたしであることを伏せれば別に言ってもいいじゃないか。
そう、思ったのに……
「……ごめん……それは分かんないや」
……言えなかった。
嘘をついてしまった。
何だか少し怖かったから……。
瀬戸に好きな人がいると知って……
ふとした拍子に結衣はそれがあたしだと知ってしまった時
……それを想像すると、何だか怖かったから。
《そうなんだ……。
……ごめんね、つぐみ。
変なこと頼んじゃって……》
「ううん、いいの……」
謝らなきゃいけないのはあたしだよ。
嘘ついて……ごめん。
《手紙……捨てていいよ。
もう……いらないし》
「うん……分かった」
《じゃあ、また明日……》
「じゃあね……バイバイ」
電話を切り、あたしは大きくため息をつく。
嘘……ついちゃった。
でも……仕方ない。
これは仕方なかったんだ。
そう言い聞かせて、あたしはケータイを机の上に置いた。