好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


あたしは瀬戸から受け取った手紙を手にして教室に戻った。

教室に戻ると結衣が近寄ってきた。


「お疲れ様。
あれ、それ何?」

「あぁ、これは……」

「つぐみ、もしかして……!」


結衣がぱぁっと顔を輝かせる。


「誰?誰から貰ったの!?」


そして興味津々そうに聞いてきた。


「えっと……別の人から受け取ったから。
誰かはまだ分からなくて……」


瀬戸が勝手にあたしの机を漁って持ってきた、なんて言えない。


「じゃあ早く見てみなよ!」


早く早く!と結衣に急かされる。


「あぁ……うん、開けてみる」


結衣に急かされながら封筒の封を開ける。

すると、中から綺麗に折りたたまれた手紙が出てきた。


「……水谷君?」


平野つぐみさんへ、と最初に書かれた手紙。

その最後には水谷聡と差出人の名前が書かれていた。


「水谷君って?」

「去年同じクラスだった人だよ」


結衣にそう答えながら中身を読んでいく。

同じクラスだったけどそんなに話すことのなかった水谷君。

そんな水谷君があたしに……


「……今日の放課後、教室で待っててって……って」

「それって……そういうことだよね!?」

「どうなんだろ……」


本当にそんなに話したことないし、告白ってことは……どうなのかな。


「瀬戸ー、お前話の途中でどっか行くなよな」

「ははっ、ごめんって。
ちょっと用があってさー」


あ……瀬戸。

戻ってきたんだ。

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