好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
瀬戸は一瞬チラッとだけあたしを見て、また友達の方へと視線を戻した。
そんな瀬戸を結衣がじっと見つめる。
「瀬戸君って……好きな人とかいるのかな」
「え……」
あたしは隣にいた結衣の言葉に思わず驚いてしまった。
「だからラブレター受け取ってくれなかったのかな……」
女の勘って鋭い……。
「どうだろうね……」
苦し紛れにそんなことを言ってみる。
本当のことなんか、言えない。
「はー……早く諦めなきゃな……」
結衣……。
……チクチクと胸が痛む。
罪悪感……。
「つぐみは今日の放課後、頑張ってね」
結衣があたしに笑顔を見せる。
その笑顔を見ると更に胸が痛くなる……。
「……うん、ありがと」
何とかあたしも笑顔を作って返した。