好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「昨日の返事、また今度って言ったでしょ?」

「あ……うん」


今年に入ってから……というか、人生でされた告白は二回。

その二回とも返事を保留にされている。

あたしの中での答えは出てるんだけど……。


「本当はね。
フられる覚悟で告白したんだ」

「え?」


あたしが本当に驚いた顔をしていたのか、水谷君はあたしの表情を見て小さく笑った。


「平野と俺、そんなに仲良かったわけでもないし。
平野からしたら俺の印象なんて薄いんだろうなーって思ってたから」

「そんなこと……」


ないとは言えない。

何て言ったらいいか分からなくてそれ以上言葉を発せずにいるあたし。

そんなあたしをよそに水谷君は話し続ける。


「それでもいいって思ってたんだけどな……。
昨日の瀬戸を見て変わった」

「瀬戸?」

「平野の気持ちが誰のところにもないなら、ちょっと頑張ってみようかなって」


え……。

それって……。

あたしの頭の中に瀬戸が浮かぶ。
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