好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「水田じゃなくて水谷君だよ……。
去年同じクラスだったじゃん……」
「あれ、そーなの?
まぁ、別にいいや。
俺、覚える気ないしねー」
いつもの瀬戸……に見えなくもないけど、何かが違う気がする。
水谷君のこと……睨んでる?
そんなことを思いながら瀬戸の顔を見上げる。
すると、それに気づいた瀬戸はニッコリとあたしの顔を見て微笑んだ。
そしてまた水谷君へと視線を戻す。
「平野のことを好きになるかどうかは勝手だけどさ。
困らせるのはやめろよな」
水谷君に睨みを利かせながらそう言う瀬戸。
でも……
「……アンタも人のこと言えないでしょ」
「え!?
俺、コイツと同じ!?
確かに困らせてるって自覚はしてるけどさー」
自覚してるのかよ。
心の中でそうツッコみながら呆れた顔で瀬戸を見上げる。
瀬戸は参ったなーなんて言いながら頭を掻く。
「いやね、君の気持ちは痛いほど分かるのよ、水田クン」
「だから水谷君だってば」
人の話聞いてるの?
「でもさー、やっぱ俺からしたら君は恋敵なわけよ。
だからなるべく平野の周りウロチョロしてほしくないんだわ」
「ちょっ、瀬戸……」