好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

……行っちゃった。

行っちゃったよ……。


「どうすんの、これ……」


ため息をつきながら頭を抱えてしゃがみこむ。


「つぐみちゃんももっとはっきり言えばよかったのに」

「……分かってる……分かってるけど……」

「まぁ、でも一回ちゃんと断ったもんなー。
それでもって向こうが言うんだから、別につぐみちゃんは気にしなくてもいいんじゃない？」


なんて能天気にそんなことを言う瀬戸。


「気にするよ……。
ていうか、大体瀬戸も！
瀬戸にも、あたしはっきり言いたい！」


もうこんなゴチャゴチャするの嫌！

瀬戸の目を見ながらそう言えば、瀬戸の瞳が僅かに揺れたのに気がついた。


「瀬戸……？」

「あー……まぁ、そうだよなー。
平野からしたら、こんなん迷惑なだけだよな」


何よ……。

何でそんな顔するの……。

そんないつもの瀬戸じゃない表情、見せないでよ……。


……ダメ。

ダメ、そんな表情に惑わされちゃ。

はっきり言わなきゃいけない。

好きじゃないって。

好きになれないって