好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「あー、てことは俺も水田クンと同じってことか。
フラれるのも好きになってもらえないのも全部分かってるけど、諦められない」
ははっ、と瀬戸が笑う。
でもその笑顔は少し寂しそうで……。
「……ごめん」
「謝んないでよ。
んー……どうしよっかなー……。
でもなー、俺だってこのまま諦められないしね」
「いや、あの……そこは諦めてください」
「ははっ!ムリムリ!
だって俺、平野のことすげー好きだもん」
ドクン……と心臓が跳ねる音が聞こえた気がした。
……何でそんなことサラッと言えるの。
本当……嫌になる。
一々反応してしまう自分も……。
「まー、結局さ。
平野が俺をはっきりフってもフラなくても、俺がやることは変わんないってことだね」
「はい?
いや、だってさっき拒絶されたら諦めるって……」
「フラれたけど、別に拒絶されてないしー。
キモい!イヤ!って言われたわけじゃないしー」
ふふーん、とまるで勝ち誇ったように笑う瀬戸。
何だろう。
さっきは何だかドキドキしたのに、今のは少しムカッときた。
この表情、なんかムカつく。
「だから、頑張ってね。つぐみちゃん」
「キモい、イヤ」
「え!?
ちょっと、つぐみちゃん!?」
今のはナシでしょ!?
ねぇ、ナシでしょ!?
と縋り付いてくる瀬戸をシカトしながらあたしは教室へと向かう。
……これからどうしよう。
あたしは小さくため息をついた。