好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「で?
つぐみちゃんは何か俺に用だった?」
え、あ……そうだ。
「あの、さ……昨日、瀬戸のお姉さんに会ったよ」
とりあえずそこから話し始めると、瀬戸は目玉が飛び出るんじゃないかってぐらいに目を大きく見開いた。
「え……は?
……マジ?」
「うん、マジ」
「何で!?」
瀬戸はあたしの肩を持ってガクガクと揺さぶる。
昨日あたしの手を振り回していたあかりさんと似ている。
「偶然帰りに会って……」
「なんつー偶然だよ!」
瀬戸はあたしの肩に手を置いたままそう言う。
ていうか、顔近い……。
近くにある瀬戸の顔を直視できなくて、あたしはさりげなく視線をそらす。
それに瀬戸も気づいたのか、慌ててあたしから離れる。
「あ、ごめ……思わず……」
「ううん……」
「………………」
「………………」
……微妙な沈黙。
……チラッと見えた瀬戸の耳が少し赤くて。
どうしたらいいか分からなくなる。