好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「次は絶対行く。
……あ、つぐみ。あたしちょっと自販機で飲み物買ってくる。
先生来ちゃったら適当に言っておいて!」
「あ、うん。
いってらっしゃい」
財布を持って少し小走りで教室を出て行った結衣。
時計を見ると、チャイムが鳴るまでにはまだ少し余裕があるから多分間に合うと思う。
「えっとー、つぐみが参加。
てことは……半分は来るかな」
「そんなに?結構いるんだね」
「ね、あたしもビックリ。
……あ、瀬戸!広里!」
リホがちょうど教室に戻ってきたところの瀬戸と広里君を呼ぶ。
自分から動くのが面倒くさいのか、二人を手招きしてこっちに呼び寄せるリホ。
「何ー?」
「アンタ達、土曜の祭り行く?
クラスで行こうってなってるんだけど」
リホの言葉に少し悩んでいる様子の広里君。
いつも瀬戸と一緒にいる彼は瀬戸とは性格が全然違うのに、よく合うなと常々思っている。
広里君は至って常識人。
「土曜か……」
「ヒロ、何か予定あんの?」
瀬戸の質問に広里君は小さく頷く。
「微妙。俺は保留にしといて」
はいはーい、と良い返事をしながらリホは持っていた紙に『広里 △』と書き込む。
その様子を見ていた瀬戸がリホの手からスッと紙を抜き取った。