好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
二人ぼっち
「つぐみー!こっちこっち!」
リホが大きく手を振りながらあたしを呼ぶ。
駆け足でそこへ近寄ると、クラスメート達が集まって駄弁っていた。
土曜日。
夏祭り。
この日だけは賑わうこの辺り。
あたしも今日を楽しみにしてきた。
「あと少しかなー」
リホが集まっているメンバーを見ながら呟く。
ここにいても良い香りが漂ってくる。
早く何か食べたい。
そのために今日はお腹を空かせてきた。
「花火始まるまでは自由行動ね。
集合場所決めてあるから、花火の時はそこ集合!」
リホの言葉にみんながはーいとまばらに返事をする。
ここの花火、綺麗なんだよね。
「つぐみ何食べるー?」
「焼きそばとーチョコバナナと……あとは……」
「あはは!
ま、食べ物は逃げないからゆっくり回ろう」
リホが食い意地の張ったあたしを見て笑う。
でも、お腹空いてるの。
今ならいくらでも食べれる気がする。