好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
モヤモヤした気持ちを抱えながらあたし達はまた歩き出す。
キャッキャッとみんなは話しているけれど、あたしはどうしてもさっきのことが気になる。
気にすることなんてないのに。
「そろそろ集合場所行こっか」
「そうだね。ちょっと早いけど、そこに行って駄弁ってようよ」
花火……。
楽しみにしていた花火だけど、何だかテンションが上がらない。
みんなの少し後ろを歩いていくあたし。
ボーッと並んでいる屋台を見ながら歩く。
周りはこんなに賑やかなのに。
あたしの心は薄暗いまま。
ダメだ。
せっかくみんなで来てるんだから、楽しまないと。
「あれ………」
そう思ったその時。
あたしの視界に見覚えのある人物が目に入る。
その人もあたしに気がつき、こちらに向けて軽く手を挙げた。