好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
「つぐみちゃんってたまーにドジるよね」
「そんなことない。
これはたまたま!」
「ははっ!
あー、面白かった。
どうりで何か香ばしい匂いがするなーって思ってたんだよ」
「もっと早く言ってよ!」
瀬戸はお腹を抱えて笑う。
そんな面白くない!
少し頬を膨らませるあたしを見て、瀬戸は笑いをこらえようとするも、上手くこらえられていない。
「いいじゃん、いいじゃん。
つぐみちゃんらしくて」
「あたしらしいって……」
「そういうとこも好きだよ」
突然の告白に目を見張ると、瀬戸は優しい眼差しであたしを見つめる。
……調子、狂う。
本当に……。
瀬戸の方を見てられなくてフイッと視線をそらすと……頭上で何かが弾けたような大きな音がした。
顔を上げると……
「うわぁ………」
夜空に咲く色とりどりの花火。
次々と打ち上げられていく。
「始まったね」
……綺麗。
……何か、去年見たものよりも綺麗に見える。
気のせいなのかな。
でも……。