好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―
花火を見上げながら隣にいる男の顔を思い浮かべる。
瀬戸が……隣にいる。
……だから、綺麗なの?
分かってる。
分かってるんだ、自分の心が今どこにあるのか。
でも、そうだと信じたくない。
認めちゃいけない。
友達の好きな人を好きになってしまったら……全てが壊れてしまうような気がする。
だけど………
カシャッと音がして、慌てて隣を見る。
「花火に見とれてるつぐみちゃんの横顔ゲットー」
「ちょっ……瀬戸!?」
「これ、待ち受けにしていい?」
「いいわけない!」
だけど……今だけは。
「えー、いいじゃん。
俺のも撮っていいからさ」
「いらないし。
ていうか、今すぐ消して!」
「ははっ!ムリムリ。
こんなん、永久保存版でしょ」
今だけは……このままでいさせて。