他校生の君に贈りたい言葉。
「有空、送るよ」
だって向こうも授業中だろうし…。
「嫌だ…」
「へっ?」
「嫌だ」
有空は口を尖らせて、拗ねている。
その姿も可愛くて、頬がついつい緩んだ。
「俺も行く当てないし…、どっか食べに行かない?」
そう言うと
待ってました!
と言う顔で俺の手を握りしめる有空。
ほ、ホントになんかあったんじゃない?
いつもなら空気同然じゃん?
イヤフォンで曲聴いて、俺になんて見向きもしないで…。
「…中に、慶介…じゃないよね?」
俺は有空を見ると、きょとんと首を傾げる。
身長的に無理だろうし…、その前に駄目だよ。
アイツ、カッコいいは合っても、可愛さはとことんないもんな。
俺よりも、背の低い有空。
「空流はさ?…好きな人いないの?」
真っ赤な顔で見つめてくる。
俺もそれにつられて、赤くなる。
「…いる、けど」
「い、いるのっ?」
少し残念そうに口を尖らせる有空。
「有空は、いないの?」
俺の問いにポッと更に赤くなる。
「……いる。今日、好きって気付いた」
有空にも居るのかぁ…。
俺、失恋決定?
初めてだったんだけどなぁ…。
「そっか。お互い頑張ろうな」
お互い笑顔を向ける。
…でも、お互いの笑顔が引きっつってることを見ない振りして…。